グレイ(Gy)

物質が放射線から受け取ったエネルギー量を表す単位。吸収線量。国際単位系(SI)による吸収線量の単位は[J/kg]。1キログラム(kg)の物質に1ジュール(J)のエネルギーが吸収されたとき1グレイ(Gy)となります。

ヒトへのガンマ線全身急照射による半数致死線量(LD50/60)=4 Gyとすれば、仮に体重70 kgの場合、吸収されたエネルギーは、[Gy]=[J/kg]という定義から4×70=280 J、おなじみの熱量単位に直せば、280÷4.18=67 calとなります。熱いお茶(仮に60℃)を3 ml程度飲んだときの熱量に過ぎません。ここにこそ、物質に吸収された放射線のエネルギーを測るための物理量:吸収線量の国際単位系(SI)による単位がJ/kgであるにもかかわらず、特別な名称:グレイ(Gy)が与えられている深い理由があるのではないでしょうか。

すなわち、物理的には同じ量のエネルギーでも熱としてではなく、電離放射線の急照射で与えられると生物には極めて危険であることを決して忘れてはならないこと。しかし、その裏を返せば、放射線を利用することによって、ごくわずかなエネルギーで非加熱殺菌・滅菌が可能なことをも示しているのです。

様々な放射線利用例と必要な線量