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vol04.日本を海外から見ることも

岡村弘之:2010年2月

2005年9月14日、最高裁判所大法廷で在外選挙権の制限は憲法違反という判決がありました。
 
海外に住んでいる日本人は現在100万人を超え、推定有権者数は80万人以上だそうですが、私の在米当時(1984年~1997年)は、永住者、駐在員を含む海外在住の日本人に選挙権を行使する方法(制度)がありませんでした。1994年ロサンゼルスで、「海外在住者投票制度の実現をめざす会」が設立され、当初から活動に加えていただき、勉強会、国会議員へのアンケート、署名募集などのお手伝いをしてきましたが、なかなか実現しないため、96年に「その年の衆院選に投票できなかった」として国を相手に提訴、原告団8カ国53人の一員として加わりました。在米中は残念ながら進展はありませんでしたが、帰国後も行方を見守っていました。その判決で勝訴したのです(最高裁判決時に原告は13人)。
「めざす会」の初期の頃のニュースレターに会員紹介という欄があり、第2号に次のようなことを書かせてもらいました。

私は、こちらで香料を作っている日本の会社の駐在員で、在米10年になります。香りは目に見えないものですが、おいしい食べもの、楽しい生活を支える面白い仕事です。誕生日が5月3日の憲法記念日で、それでという訳ではありませんが、海外で、日本国民として選挙(に参加)できないのは、着任当時から、大変疑問に思っていました。 (中略)
海外での子供の教育、日本にいる両親のこと、いろいろと身の回りのことでも、日本の方に伝えたいことはたくさんあり、そのためにも投票制度はぜひ実現させたいと思って、この運動のお手伝いをしています。香りと同じで、見えないけれど伝えたい、一票でも投じたい、そう思っています。  

「めざす会」は全く政治的な活動ではありませんでした。訴え続けていたことに、「海外からの視点を国政に!」ということがあります。今も日本で海外有権者ネットワーク・日本の代表をしておられる若尾さんは、「海外に住むと日本が客観的に見える。そして母国の動きは海外在留邦人の生活やビジネスに直接・間接に影響を及ぼす。私たち海外在住者は、海の外からしばしば国際常識に外れる日本の政治を歯がゆい思いで見つめてきた」こうよく言われます。確かにそのとおりだと思います。裁判で違憲判決を勝ち取り、在外投票の制度もできたものの、手続きが煩雑で、まだまだ改善すべき点が多く、「仏作って・・・」という状態のため、私も海外有権者ネットワークでお手伝いを続けています。

在外選挙だけでなく、国の行政の中には、制度の不備、法令が現実に合わない、国際整合からかけ離れるといったことは、残念ながらたくさんあります。少しずつでも正していければいいのですが、なかなか直らないことも多くあります。私が携わっている香料の規制もそうですし、照射食品の認可、無駄な食品廃棄に繋がる諸制度などもそうではないでしょうか。しかし行政のせいばかりにするのではなく市民一人一人がどうすればよりよい生活を送れるのか、地球環境を守れるのかを考え、いろいろな機会に声を出していくことが大事ではないかと思っています。その中には海外から見た日本に対する声も反映できれば良いのではないでしょうか。

(海外有権者ネットワーク・日本のことをお知りになりたければ、ぜひネットで検索してみてください。)